〈少子化〉子どもを産めばいい!で解決する段階はもう過ぎ去った
よく一般に、子育て環境を改善して子供を産みやすくして少子化対策!みたいな論調で語られたりすることもあるんですが、子供を産めるのは、20代〜30代の、若い女性に限られますよね(40代の出産も増えてきてはいるそうですが)。そして、日本の場合残念ながら、子供を産むことのできる若い年齢層の女性が、すでに相当少なくなっているんです。
こちらは、人口ピラミッド(2015年)なのですが、女性のうち20代、30代の割合は合わせても「21.2%」、そして20年後のお母さんとなりうる0歳〜19歳の割合は「16.5%」しかいないんです。(1991年時点では、26.5%いました)これが新興国だったら30%を超えていたりするんですが(ベトナムの場合、およそ35%)。
【出生数=若い年齢の女性の数 × 出生率】
ですから、このうち出生率が伸びたところで、左側の女性の数がすでに少なく、さらに言えば今後ひたすら減少していくわけです。つまり、出生率がいくらか上がっても、子供は減ってしまうのです。
実際に将来の人口ピラミッドがどうなっていくのか、出生率を高めに見積もった高位推計と、趨勢通りに見積もった中位推計、低めに見積もった定位推計を乗せた図を見てみましょう。
これを見ると、高位推計であったとしても子供はひたすら減り続ける、やはりどのみち”つぼ形”になることは避けられない、というのがはっきりわかるかと思います。
もちろん、何も手を打たなくていいとは思いませんし、子供が育てやすい社会になれば良いとは願っていますが、少子化によって引き起こされる財政や人手不足はもう子どもの数を増やせ!とか言って解決できる段階にはないのです。「子供が少ない+高齢者が多い」は確定した未来なのです。
結論:「少子化はもう手遅れ。子どもが少ないことを前提にして社会制度の設計を」
以上。